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顔の傷の補償、男女差は違憲 京都地裁 国の給付処分を取り消し

2010-06-21 15:06:56

労災で顔や首に大やけどをした男性(京都府 35歳)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟で、京都地裁は「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消しました。

現行の労災保険では、『頭部・顔面部・顎部の障害』に関し、その保障に男女差があります。人の目にすぐに見える「顔」と言う部分に大きな怪我を負った場合、女性と男性を差別化するのは問題ではないでしょうか?精神的な苦しみは同じものだと思います。

また、下記日経新聞記事によりますと『国側は国勢調査の結果を根拠に「女性は男性より接客業などに就く割合が高く、 化粧品の売り上げなどから外見により高い関心を持っている」として等級の差が合理的だと主張していた』とのことですが、接客業以外でも、男女問わず「顔」という見かけ上のイメージも大切にしなければいけない職業もあります。

また、近年、男性用化粧品売上も増加傾向にあり、産経関西ニュースでは、「化粧品メーカーや製薬大手が男性用スキンケア商品を相次いで投入し、男性用化粧品市場が200億円規模まで拡大している。・・・女性用化粧品が横ばいを続ける中、割合は少ないものの有力な成長市場として注目されている。」と伝えております。<産経関西 2009年9月9日http://www.sankei-kansai.com/2009/09/09/20090909-014409.php

 外見に関心を持っているのは、女性だけとはいえない時代になっているようです。やはり、労災保険の保障に男女差を設けるのは不合理であり、障害等級の再検討が必要なのではないでしょうか。現行の労災保険の障害等級は、下記のとおりとなっています。

 ◆労災保険の種類
労働社会保険の障害給付には、労災保険の障害給付と社会保険(厚生年金・国民年金など)の障害給付の2種類があり、各々の保険制度で年金給付と一時金給付が定められています。
 
◆労災保険の障害等級の概要
労災保険の障害給付は、障害等級1~7級の場合は年金給付となり、障害等級8~14級の場合は一時金給付となります。
ですので、障害等級7級(給付基礎日額の131日分を毎年支給)と障害等級8級(給付基礎日額の503日分を1回支給して終了)の間には大きな格差があります。

 
尚、労災保険の障害等級は、労働能力喪失率を基準としており、各障害等級の労働能力喪失率と支給額は以下の通りになっています。
 

障害等級
労働能力
喪失率
障害給付
の種類
障害(補償)給付の支給額
特別支給金
(1回支給)
第1級
100%
年金給付
給付基礎日額×313日分×毎年支給
342万円
第2級
給付基礎日額×277日分×毎年支給
320万円
第3級
給付基礎日額×245日分×毎年支給
300万円
第4級
92%以上
給付基礎日額×213日分×毎年支給
264万円
第5級
79%以上
給付基礎日額×184日分×毎年支給
225万円
第6級
67%以上
給付基礎日額×156日分×毎年支給
192万円
第7級
56%以上
給付基礎日額×131日分×毎年支給
159万円
第8級
45%以上
一時金給付
給付基礎日額×503日分×1回支給
65万円
第9級
35%以上
給付基礎日額×391日分×1回支給
50万円
第10級
27%以上
給付基礎日額×302日分×1回支給
39万円
第11級
20%以上
給付基礎日額×223日分×1回支給
29万円
第12級
14%以上
給付基礎日額×156日分×1回支給
20万円
第13級
9%以上
給付基礎日額×101日分×1回支給
14万円
第14級
5%以上
給付基礎日額× 56日分×1回支給
8万円

 ※補足説明
労災保険において、男女で支給の差があるのが『頭部・顔面部・顎部の障害』となり男性の外貌に醜状を残すものが「14級」(給付基礎日額×56日分×1回支給)対し女性は「12級」(給付基礎日額×156日分×1回支給)。男性の外貌に著しい醜状を残すものが「12級」(給付基礎日額×156日分×1回支給)に対し女性は「7級」(給付基礎日額×131日分×毎年支給)となり12級と7級では支給額が大きく変わります。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性(35)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消した。原告側の代理人弁護士によると、性差別を理由に障害等級を違憲とした判決は初めて。

労災保険法に基づく厚生労働省令では「外貌(外見)に著しい醜状を残すもの」として顔などにけがが残った場合、女性の障害等級を7級、男性を12級と規定。
7級は平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり給付されるが、12級は156日分を「一時金」として1回支払われるだけで、給付金額に大きな格差がある。

滝華聡之裁判長は、顔などに傷が残った場合の影響について検討し、(1)就労機会の制約(2)本人の精神的苦痛――などの損失について「男女の差異は顕著でない」 と判断。「男女によって5級もの差が設けられ、給付金にも大きな違いがあるのは著しく不合理だ」と結論付けた。

国側は国勢調査の結果を根拠に「女性は男性より接客業などに就く割合が高く、化粧品の売り上げなどから外見により高い関心を持っている」として等級の差が合理的だと主張していたが、滝華裁判長は「具体的な根拠が示されておらず、性別と精神的苦痛の程度に強い相関関係も認められない」と退けた。
 判決によると、原告の男性は1995年11月、勤務先で金属の溶解作業中に大やけどを負い、顔や首、腹部にあとが残った。園部労働基準監督署は2004年4月、ほかの症状を併合して11級と認定した。

原告の男性は「けがで自分の人生が負った被害は計り知れない。男性というだけで差別されたのはおかしい、との主張が認められたのはうれしい」とのコメントを公表した。

原告代理人の糸瀬美保弁護士は判決後の記者会見で、「けがで苦しむのは男女同じ。差があるのがおかしく、極めてまともな判決だ。同様の差別で苦しむ男性は多く、平等給付のため法改正を求めたい」と話した。

 (日経新聞 2010.5.27掲載)

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