2008年度に児童相談所で対応した虐待の件数は4万2662件で過去最悪を更新し、その中で、強制の立ち入り調査は2件にとどまったそうです。
児童虐待の種類については「身体的虐待」「性的虐待」「心理的虐待」「ネグレスト(養育の放棄)」に分けられ、実際のケースでは、いずれか一つではなく、これら4つのタイプの虐待が組み合わさり起こることが多く、
子どもの心に大きな傷となって残り、(1)自分に自信がもてない、(2)対人関係が苦手、(3)自傷行為、(4)人格障害、(5)自分自身の子どもの虐待、などの悪影響が起こりうるとされています。
子どもが欲しくても授からない家庭がある一方で、2007年1月~2008年3月の間で児童虐待によって亡くなっている子どもが78人もいました(厚生省児童家庭局資料による)。
しかも、加害者は実母63.3%、実父21.6%という悲しい事実です。
虐待のSOS
(1)不自然な傷やあざが多い
(2)小さな子どもを残して親がたびたび外出している
(3)長時間、こどもが外に出されている : いつも泣き声が絶えない
(4)暴力を振るわれている
(5)お風呂に長期間入っていないようだ
(6)いつも季節に合わない服を着ている
2004年施行の改正児童虐待防止法で虐待発見時の通告が強化され、学校や近隣らが「虐待を受けた児童」だけでなく「虐待を受けたと思われる児童」を発見した場合も、児童相談所へ通告する義務があります。
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奈良・5歳餓死「子を愛せない」悩み抱えないで
社会は理解し支援を
「子どもに愛情がわかなかった」――。奈良県桜井市で5歳男児が餓死した事件で、母親(26)はこう供述した。わが子を「かわいいと思えない」と感じた経験のある親は少なくない、と虐待防止の専門家は指摘する。親が子に否定的な気持ちを持つことはあると周知し、早めに支援する仕組み作りが必要と訴える。
大阪府内の主婦(35)は4年前に長女を出産した後、2歳上の長男をしかることが多くなった。夜泣きをする長女の世話で眠れない日が続いた。長男は「一緒に遊ぼう」と甘えてくる。牛乳をこぼしたり、トイレトレーニングに失敗したりすると腹が立った。仕事が忙しい夫に助けを求めることはできず、近所に知り合いもいなかった。「息子の姿を見るだけでイライラするようになった」。ささいなことをきっかけに長男の頭をたたき、体を押し倒した。「なんでママだけしんどい思いせなあかんの」と叫んでいた。感情を抑えきれない自分が怖くなり、民間の虐待ホットラインに電話をした。約3年前、母親たちが集う「貝塚子育てネットワークの会」に参加。同じように悩む母親たちに、思いを打ち明けることができた。気持ちが楽になり、子育てに前向きになったという。
同会代表の朝日陽子さん(44)も、親類や友人のいない状況で子育てをしていた頃、「子どもから離れたい」と思ったことがある。「悩みや不安を話し合える場があることは、虐待を防ぐためにも大切。でも、こういう場に一歩踏み出せない人もたくさんいるはず」と話す。
子どもを疎ましく思った経験を持つ親は少なくない。ベネッセ教育研究開発センター(東京)が2005年に行った調査では、6割の母親が「子どもがわずらわしくてイライラしてしまうことがある」と回答した。
立命館大教授の野田正人さん(司法福祉論)は「『母親にはおなかを痛めたわが子に愛情があって当然』という考え方が根強くあるが、神話に過ぎない」と話す。子どもへの愛情を育むには、まず親自身が「自分は大切な存在だ」という感情を持てることが前提という。「子どもを愛せない」という親の多くは、「自分はダメな親だから」と考えがち。周囲もそんな親を非難するので、親は助けを求められないまま、虐待行為へ進む危険性が高まる。野田さんは「『親が子どもを好きになれないことはある』と社会全体が理解し、適切に支援する体制を整えることが必要」と話す。
「子どもをかわいいと思えないと悩む背景には、夫婦や親子、友達関係などの問題がある」というのは、子ども情報研究センター(大阪市)所長の田中文子さん。センターは週4回、面談や電話による子育て相談を行っている。「子どもが離乳食を食べない」という悩みが、「夫の帰りが遅い」「義母から口うるさくいわれる」といった内容に広がることも珍しくない。
田中さんは「母親は、子どもに関する悩みなら話しやすいが、それは抱えている問題の一部にすぎない。家族関係や健康状態、経済状況など様々な側面に目を向け、虐待に至る前に、身近で助け合える関係作りが重要」と指摘する。
(2010年3月7日 読売新聞)
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