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山岳事故の救助ヘリ出動費用=警察・消防は税金、民間は1分1万円

2010-08-26 15:45:48
先月、秩父市大滝で山岳救助中に県防災ヘリコプターが墜落し、5名が死亡した事故は、記憶に新しいところです。滝つぼに女性(55)が転落したとの救助要請に基づいての出動でした。周囲の山は険しく、ベテランの登山客や釣り客のみが訪れる場所なのですが、遭難事故は年に数十回あったそうです。当日、現場付近では雷雨が降っていた状況下でのヘリコプターの出動でした。
 
大変痛ましい事故でしたが、中高年の登山人気が高まる中、山岳事故も増加しており、ヘリコプターによる上空から、また山岳救助隊員を要請しての地上からの大がかりな捜索・救助も行われています。一体、それらの費用はどれだけかかるのか、また誰が負担しているのでしょうか。2010年8月17日の毎日新聞記事で、下記報じられています。
 
『警察庁によると、09年の全国の山岳遭難は1676件、遭難者は2085人(うち死者・行方不明者317人)。ともに統計を取り始めた1961年以降で最多で、40歳以上の遭難者が77%を占めた。』
 
『警察ヘリは警察法、防災ヘリは消防組織法に基づき、人命救助にあたる。ともに費用は遭難者に請求せず、運航経費や人件費などを税金でまかなう。公共ヘリが出払っている場合などは民間ヘリが活用されるが有料だ。』
 
『日本山岳協会によると、民間ヘリの平均費用は「稼働1分あたり1万円」。遭難者本人や家族に請求される。離陸後2時間かかれば120万円になる。
 山岳ガイドや山小屋経営者が加盟する各地の「山岳遭難防止対策協会(または協議会)」(遭対協)が動員されると、捜索費はさらに膨らむ。遭対協が遭難者らに請求する「日当」は夏山で捜索者1人あたり平均3万円、冬山で同10万円。警察は原則、家族らの了承を得てから遭対協に捜索を要請するが、緊急時は事後承諾となる。』

※山岳事故の救助ヘリ出動費用=警察・消防は税金、民間は1分1万円
※捜索費用=捜索要員1人当たり 3万円(冬山の場合、同10万円)
とのことですが、具体例を同記事より下記に引用します。ヘリコプターの出動が無い場合でも、費用はかなり高額となり、山岳保険への加入の必要性にも言及しています。
 
『登山歴25年の中村雅昭さん(57)=東京都多摩市=は20年前、群馬県側の尾瀬・至仏山(2228メートル)で道に迷った。遭難5日目に自力で下山したが、出動した遭対協に200万円を支払った。当時は救助費の保険が普及しておらず、中村さんは「体力を過信していた自分の責任だから、きちんと払った。今は山仲間に保険への加入を勧めている」と話す。』
 
『保険会社や登山業界は年々、山岳保険に注力している。登山ツアーの客に、保険加入を義務付ける旅行会社も増えてきた。登山具メーカー「モンベル」(大阪市)は3年前からネットで注文できる山岳保険を始めた。年間8010円の掛け金で、最大で救援者費などの補償500万円、遭難捜索費100万円が受け取れるものからある。また、掛け金が年額3000円の山岳共済制度もある。』
 
山岳保険の一例として、日本山岳協会-山岳共済会http://www.jma-sangaku.org/kyosai/
の団体傷害保険<軽登山コース (ハイキングや軽登山などロープ、アイゼン、ピッケルを使用しない場合の事故に対して補償)>を紹介します。
 
 
ただ、山岳保険・共済に加入すればよいというものでは勿論なく、安易な登山計画・ツアーガイド任せの行程での登山は避けるべきで、登山における<自己責任>の自覚を同記事の最後でも促しています。
 
『日本山岳ガイド協会の磯野剛太専務理事は「ヘリが『有料』と聞いて要請を取りやめた登山者もいたと聞くが、危険を感じたら迷わず、救助を求めてほしい。山は観光地の延長ではない。リーダーやガイドに依存し過ぎず、基本は自己責任だと自覚して登ってほしい」と話す。』

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他社物件をリフォームするリスクを保険で軽減

2010-08-18 14:11:22

TVの住宅リフォーム番組の影響ばかりとは思えませんが、昨今、「リフォーム」が増えているようです。ある個人建築家事務所でも、「新築」より「リフォーム」の問い合わせが増え、HPの無料相談窓口で毎月5~6件の相談があるそうです。そして、悪徳業者による「リフォーム詐欺」も増えていると聞きました。

日経新聞の2010年7月23日の記事によると、リフォームを行う場合、新築時の施工者に依頼するケースは2割未満に過ぎず、しかも年々減る傾向です。(国土交通省が2010年6月に発表した09年度住宅市場動向調査)

 

 
つまり、住宅リフォームの施行者の多くは、他社が新築したものに手を加えることになります。設計図等がきちんと残っている場合でも、設計図とおりに施行されているかどうかを完成後の調査で確認するのは困難といわれています。この他社物件をリフォームする場合の「リスク」を軽減する為に、リフォーム瑕疵担保責任保険が設けられました。
 
2010年8月3日の日経新聞では、住宅リフォーム向けの瑕疵保険について、報じられています。
 
2010年の春、日本住宅保証検査機構(JIO)を皮切りに、住宅瑕疵担保責任保険法人が相次いで住宅リフォーム向けの瑕疵保険を手掛け始めた。本業としている新築向けの住宅瑕疵担保責任保険と同様に、施工者からの加入を受け付け、保険の対象となる住宅の施工現場を検査することで保険を成り立たせている。このリフォーム瑕疵保険は新築向けの保険と異なり、加入の義務はない。ただ、保険加入が国土交通省による補助の対象となったこともあって、リフォーム会社やハウスメーカーなどのほか、地域の住宅会社、工務店などにも加入するところが出てきている。』

日本住宅保証検査機構(JIO  http://www.jio-kensa.co.jp/default.htm )
は、住宅を購入する消費者の保護を目的とした住宅瑕疵担保履行法に基づく保険業務を主に行っております。このたび、同社のリフォーム現場での検査が、同日経新聞にて取材されています。

『保険に加入するのは地元の住宅会社のプレックで、対象物件は工事費約1600万円、工期3カ月半という木造戸建て住宅の全面リフォームだ。JIO広島営業所の主任検査員の斉藤昌敏さんが、躯体や雨仕舞いの状態をチェックする「工事中検査」を行った。斉藤さんが検査で特に重点を置いたのは、リフォームで加えた部材と既存部材との取り合いだった。所要時間は約1時間で、新築住宅を検査する場合と同レベルだった。

 この物件の施工者が竣工時の工事完了検査もクリアして、瑕疵保険加入を認められると、住宅の引き渡し後に構造上の不具合や雨漏りが保険金支払いの対象となる。新築向けの瑕疵保険と違うのは、保険の有効期間が10年ではなく5年であることなどだ。』
 
このリフォームの依頼者も、新築時の工務店とは異なる設計者と施行者を選択しているのですが、今回のリフォーム設計者(飯塚建築工房《広島市》。代表の飯塚修氏)は、下記のように語っています。
 
『自分が見てきた限りでは、1990年ごろに建てられた木造住宅は構造面でずさんなものが多い。この住宅は例外的によくできている。とはいえ一般論として、既存の部材にリフォームで新しい部材を加えることがうまくいくかどうか、心配は残る』
 
やはり、他社が施行した物件に関しては、リスクが伴い、設計者としても不安であるようです。飯塚氏は、施行者プレックに瑕疵保険の加入を提案し、保険加入が実現しました。
 
同社営業課長の原田氏は、リフォーム瑕疵保険の必要性について、『工事費が200万~300万円以上の場合には原則として加入していきたい』『当社の売上高にリフォーム関連が占める割合は2割から2割5分程度で、増加傾向にある。他社が施工した物件のリフォームも増えていくだろう。他社が建てた住宅のリフォームでは瑕疵保険に加入する必要性が特に高い』と話しておられます。
 
現在、JIO「リフォームかし保険」(リフォーム工事瑕疵担保責任保険)の登録を行っている事業者数(会社数)は、8月5日現在1,297社、7月1ヵ月間の申込件数は476件有り、その保険金額別の構成比は、保険金額300万円63%、同600万円22%、同1,000万円15%となっています。
 
 
 
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“ファミ活”? 

2010-07-20 13:05:15

ファミ活とは、現代家族における「愛情バランス」の実態調査・研究や、家族力の向上を目指した活動とのことだそうです。AIGエジソン生命保険会社では、そのファミ活を行うことを目的として新たなプロジェクト「家族力研究所」を、2010年7月8日に発足させました。

AIGエジソン生命保険会社によるプロジェクト発足の趣旨は、『生命保険は、「死亡、疾病等、万一のことがあった場合に家族の経済的負担を軽減したい」という切実な想いを形にするものであり、このような「家族への想い」に応えることこそが当社の使命であると考えます。そこで、この使命の重要性に鑑み、改めて「家族」に着目し、「家族の絆=家族力」の向上を目的とするCSR活動を行うこととしました。』と報じられています。
<朝日新聞2010年7月8日 掲載記事http://www.asahi.com/business/pressrelease/PRT201007080022.html> 

ファミ活プロジェクトのスタートに際して、「家族力研究所」では現代の「家族の絆」の実態を把握する為、全国の既婚男女1,000名(20~49歳の男性有職者500名、女性有職者250名、専業主婦250名)を対象として、『現代家族の「愛情バランス」実態調査』を実施致しました。

核家族自体は割合としては増えていませんが、高齢の夫婦のみの世帯は増加しております。また、「家族」というテーマでニュースになるのは、「児童虐待」や「ドメスティック・バイオレンス」というメディアでクローズアップされた機能不全の家族の形態。高齢化社会を迎え、在宅での高齢者看護や家族に対する記憶喪失も含む「痴呆」も、家族をめぐる社会問題として深刻です。周辺には核家族や社会からも孤立し、無縁社会で生きる家族離れした人々の存在もあります。現代の「家族の絆」の実態はどうなっているのでしょう。

『現代家族の「愛情バランス」実態調査』結果を少し紹介させていただきます。はじめに「普通の家族有りき」の前提で、「愛情バランス」の意識調査ですので、前述した観点からは離反しますが。
【家族力研究所】では、「思いやり度」「やすらぎ度」「信頼度」「密着度」「適応度」の5つの観点から、調査しています。
<「家族力研究所公式サイト」http://kazokuryoku.jp/investigation/index.html

  
■「思いやり度」では、《誕生日を祝う。プレゼントを買う。》とか《健康への気遣い。》等の切り口で設問をしており、その設問では子供に対する思いやり度が、夫婦ともに配偶者に対する倍は勝っているようです。
 
■「やすらぎ度」を計る下記設問によると、男性は友人と一緒にいるより配偶者と一緒にいる方に「やすらぎ」を感じるのに反して、女性は、配偶者といるよりも友人と一緒にいる方に、より「やすらぎ」を感じているようです。
 
 
設問《配偶者と一緒にいると、やすらぎを感じる》
YES:強くそう思う/そう思う/やや思うを合算
NO:あまり思わない/全く思わないを合算

対象者
YES
NO
男性有職者
77%
23%
女性有職者
63%
37%
女性専業主婦
69%
31%

 
設問《友人と一緒にいると、やすらぎを感じる》

対象者
YES
NO
男性有職者
64%
36%
女性有職者
76%
24%
女性専業主婦
74%
26%

 
■「信頼度」に関しては、《配偶者に幻滅した瞬間・過去の諍い》の切り口の設問ですが、男女平均しては金銭面に起因する信頼関係に、関心が深いようです。
 
設問《あなたが今までに配偶者へ幻滅した瞬間はどんな時ですか。》
★身内の相談を真剣にきいてくれなかった時

対象者
YES
NO
男性有職者
31%
69%
女性有職者
57%
43%
女性専業主婦
54%
46%

 
★生活費(金銭面)で揉めた時

対象者
YES
NO
男性有職者
48%
52%
女性有職者
60%
40%
女性専業主婦
52%
48%

 
★浮気が発覚した時

対象者
YES
NO
男性有職者
15%
85%
女性有職者
25%
75%
女性専業主婦
20%
80%

 
設問 《配偶者に対し、ご自身の行動や考えについてあてはまるものをお答えください。》
★昔、配偶者にされた嫌なことを今でも許せないと思う時がある

対象者
YES
NO
男性有職者
23%
77%
女性有職者
46%
54%
女性専業主婦
50%
50%

 
■日常的な家族の危機に対する「適応度」では、入院や病気などが招く家族の危機に関しては、不安を感じている人がほとんどですが、話し合いの機会を持ち、対処しているとは言い難いようです。このことは、<親の介護>に関しても同様です。
 ただ、危機の際に誰に相談するかというと、8割以上が配偶者で、親が1割、それ以外の外部機関は少ないようです。

日頃は配偶者とのコミュニケーションは緊密とはいえないが、いざという時は、配偶者にのみ頼ってしまうという図式でしょうか。

AIGエジソン生命では、『本調査において、現代家族は「家族の愛情」をバランス良く保つようなコミュニケーションが不足しており、また、「家族の愛情」の感じ方や重要度、求めるもの等についても、夫婦間で違いがあることが明らかになりました。この調査結果も踏まえ、「家族力研究所」では、今後、さまざまな“ファミ活"を通じて、家族力向上の重要性を訴求し、継続的な啓発活動に取り組んでいきます。』と表明しております。

「家族力研究所」プロジェクトは、1.ファミ活推進部、2.ファミ活調査部、3.ファミ活サポート部の3種類の部門で構成されています。先に紹介した【家族力研究所】は、1.ファミ活推進部で運営されており、生活に役立つテクニックを共有して楽しむサイト「nanapi(ナナピ) 」と連動し、一般投稿による「家族力アップのためのレシピ」を数多く紹介しています。
 
 
 
 
 
 
2.ファミ活調査部では、家族社会学研究者として著名な中央大学 文学部 山田昌弘教授を主席研究員とし、現代家族における「家族力」、「愛情バランス」の実情を探り、ファミ活を推進する社会的意義を創出して円満家族へ導く為の解決法を提唱するようです。
また
3.ファミ活サポート部では、AIGエジソン生命社員が、社会貢献活動も積極的に行いながら、家族力向上の重要性を世の中へ訴求して行くそうです。

私感ですが、「家族の絆=家族力」というと、「孫力(マゴノチカラ)」を連想してしまいます。かなり前のニュースですが、社会の高齢化が進む中、親に代わって、祖父母の介護に関心を持つ孫世代がいることが、取り上げられました。「嫁しゅうとめのような感情的なしこりがない」「親よりも祖父母の“老い”を冷静に受け止められる」ので、積極的に介護に参加でき、家族内で力を発揮することができると。残念ながら、「孫」の活躍で家族介護が変わってきたとは、思えないのですが。

ただ、あるケアマネージャーの方は、老人介護において「孫」がキーパーソンとなることに賛同しておられました。現場での介護力としても、車いすからの移乗を手伝ったり、通院の同行を引き受けてくれたりと役立ってくれ、また、老人にとって「孫」の存在そのものがリハビリ意欲の向上に繋がったりするそうです。「おじいちゃん頑張れ」の一言が、何よりもおじいちゃんを動かすと。特に、幼い孫の「おじいちゃん、そんな事ができるんだぁ~」「だったら、こんな事も、できるじゃん」「ほら、こ~すればいいんだよ」「一緒にやろうよ」のストレートな言葉には。
もちろん孫に限らず、キーパーソンをたてられれば、様々なケースにおいて「家族の力」は強力な武器と成り得るというのです。ケアマネージャーにとって、新規で訪問に行く際は、利用者本人と同じくらい注意深く家族を観察し、どれくらいの協力が得られるかを確認することが、ケアプラン作成において非常に大切だそうです。
 
老人介護における「孫力」に話を転じてしまい、保険の目的を活かす為に「家族の絆=家族力」を高めるという趣旨からは、外れてしまいましたが、「家族」の想いを結実させ、「家族力」の向上を目指すという点では、同様であると思います。
こらからの社会における「家族」の在り方と、家族の想いを受け止める保険の在り方に、注目です。

 

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顔の傷の補償、男女差は違憲 京都地裁 国の給付処分を取り消し

2010-06-21 15:06:56

労災で顔や首に大やけどをした男性(京都府 35歳)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟で、京都地裁は「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消しました。

現行の労災保険では、『頭部・顔面部・顎部の障害』に関し、その保障に男女差があります。人の目にすぐに見える「顔」と言う部分に大きな怪我を負った場合、女性と男性を差別化するのは問題ではないでしょうか?精神的な苦しみは同じものだと思います。

また、下記日経新聞記事によりますと『国側は国勢調査の結果を根拠に「女性は男性より接客業などに就く割合が高く、 化粧品の売り上げなどから外見により高い関心を持っている」として等級の差が合理的だと主張していた』とのことですが、接客業以外でも、男女問わず「顔」という見かけ上のイメージも大切にしなければいけない職業もあります。

また、近年、男性用化粧品売上も増加傾向にあり、産経関西ニュースでは、「化粧品メーカーや製薬大手が男性用スキンケア商品を相次いで投入し、男性用化粧品市場が200億円規模まで拡大している。・・・女性用化粧品が横ばいを続ける中、割合は少ないものの有力な成長市場として注目されている。」と伝えております。<産経関西 2009年9月9日http://www.sankei-kansai.com/2009/09/09/20090909-014409.php

 外見に関心を持っているのは、女性だけとはいえない時代になっているようです。やはり、労災保険の保障に男女差を設けるのは不合理であり、障害等級の再検討が必要なのではないでしょうか。現行の労災保険の障害等級は、下記のとおりとなっています。

 ◆労災保険の種類
労働社会保険の障害給付には、労災保険の障害給付と社会保険(厚生年金・国民年金など)の障害給付の2種類があり、各々の保険制度で年金給付と一時金給付が定められています。
 
◆労災保険の障害等級の概要
労災保険の障害給付は、障害等級1~7級の場合は年金給付となり、障害等級8~14級の場合は一時金給付となります。
ですので、障害等級7級(給付基礎日額の131日分を毎年支給)と障害等級8級(給付基礎日額の503日分を1回支給して終了)の間には大きな格差があります。

 
尚、労災保険の障害等級は、労働能力喪失率を基準としており、各障害等級の労働能力喪失率と支給額は以下の通りになっています。
 

障害等級
労働能力
喪失率
障害給付
の種類
障害(補償)給付の支給額
特別支給金
(1回支給)
第1級
100%
年金給付
給付基礎日額×313日分×毎年支給
342万円
第2級
給付基礎日額×277日分×毎年支給
320万円
第3級
給付基礎日額×245日分×毎年支給
300万円
第4級
92%以上
給付基礎日額×213日分×毎年支給
264万円
第5級
79%以上
給付基礎日額×184日分×毎年支給
225万円
第6級
67%以上
給付基礎日額×156日分×毎年支給
192万円
第7級
56%以上
給付基礎日額×131日分×毎年支給
159万円
第8級
45%以上
一時金給付
給付基礎日額×503日分×1回支給
65万円
第9級
35%以上
給付基礎日額×391日分×1回支給
50万円
第10級
27%以上
給付基礎日額×302日分×1回支給
39万円
第11級
20%以上
給付基礎日額×223日分×1回支給
29万円
第12級
14%以上
給付基礎日額×156日分×1回支給
20万円
第13級
9%以上
給付基礎日額×101日分×1回支給
14万円
第14級
5%以上
給付基礎日額× 56日分×1回支給
8万円

 ※補足説明
労災保険において、男女で支給の差があるのが『頭部・顔面部・顎部の障害』となり男性の外貌に醜状を残すものが「14級」(給付基礎日額×56日分×1回支給)対し女性は「12級」(給付基礎日額×156日分×1回支給)。男性の外貌に著しい醜状を残すものが「12級」(給付基礎日額×156日分×1回支給)に対し女性は「7級」(給付基礎日額×131日分×毎年支給)となり12級と7級では支給額が大きく変わります。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性(35)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消した。原告側の代理人弁護士によると、性差別を理由に障害等級を違憲とした判決は初めて。

労災保険法に基づく厚生労働省令では「外貌(外見)に著しい醜状を残すもの」として顔などにけがが残った場合、女性の障害等級を7級、男性を12級と規定。
7級は平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり給付されるが、12級は156日分を「一時金」として1回支払われるだけで、給付金額に大きな格差がある。

滝華聡之裁判長は、顔などに傷が残った場合の影響について検討し、(1)就労機会の制約(2)本人の精神的苦痛――などの損失について「男女の差異は顕著でない」 と判断。「男女によって5級もの差が設けられ、給付金にも大きな違いがあるのは著しく不合理だ」と結論付けた。

国側は国勢調査の結果を根拠に「女性は男性より接客業などに就く割合が高く、化粧品の売り上げなどから外見により高い関心を持っている」として等級の差が合理的だと主張していたが、滝華裁判長は「具体的な根拠が示されておらず、性別と精神的苦痛の程度に強い相関関係も認められない」と退けた。
 判決によると、原告の男性は1995年11月、勤務先で金属の溶解作業中に大やけどを負い、顔や首、腹部にあとが残った。園部労働基準監督署は2004年4月、ほかの症状を併合して11級と認定した。

原告の男性は「けがで自分の人生が負った被害は計り知れない。男性というだけで差別されたのはおかしい、との主張が認められたのはうれしい」とのコメントを公表した。

原告代理人の糸瀬美保弁護士は判決後の記者会見で、「けがで苦しむのは男女同じ。差があるのがおかしく、極めてまともな判決だ。同様の差別で苦しむ男性は多く、平等給付のため法改正を求めたい」と話した。

 (日経新聞 2010.5.27掲載)
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“病理医”不足 医療の発展に伴う対策を

2010-06-10 10:19:26

患者に接して診察治療をする「臨床医」に対して、「病理医」というのは、人体の組織や細胞を顕微鏡で見て、病変の有無や広がり、良性・悪性の識別等の判断を下す仕事に従事しています。以前は、病院で不幸にして亡くなられた患者さんの死因、病態解析、治療効果などを検証し、今後の医療に生かすことを目的とした病理解剖が主でしたが、近年、組織や細胞診生検材料の病変診断や、摘出された臓器の詳細な病理診断、また手術中の短時間の内に病理診断を下して、手術方針を決めるのに役立つ「迅速病理診断」に携わることが多く、治療方針の決定に関わる重要な職務となっています。

その「病理医」に関して、産経新聞では、「病理医」の認知度の低さと「診療医の不足」にもまさる深刻な病理医不足を啓発しています。
 
「がん治療などで高度な医療が普及するに伴って深刻な医師不足に見舞われながら、その危機的状況があまり知られていない診療科がある。腫瘍(しゅよう)細胞が良性か悪性か見極めるなど治療方針を立てるうえで要になる病理診断科の病理医である。」
 
「もともと病理医の絶対数が足らないうえ、画像診断技術の発達などで早期の小さな病巣がみつかるようになり、検体の数が急激に増えて病理診断の手が回りにくい状況になった。3人に1人はがんで死亡するという時代に、病理医をめぐる環境は今後ますます厳しくなるだろう。」
 
では、病理医の実状はどうなのでしょうか。病理専門医は全国で2,000名に満たない状態であり、日本の全医師約29万人に対して1%以下です。その平均年齢は50歳を超えおり、後継病理医が少ない状況(毎年輩出される新病理専門医数は80人弱)が続いています。結果、300床以上の総合病院でさえも、常勤病理医が居るのは半分程度といわれています。同産経新聞記事でも、「病理専門医の数は全国で約1500人。人口比では米国の4分の1以下にすぎない。大学病院などでは、常勤の病理医がいるが、多くても2人という状態。」と病理医の絶対数不足を訴えています。
 
さて、専門病理医が増えにくかった原因としては、下記が挙げられています。
①病理診断が病理学的検査として衛生検査所(病気の診断や健康診断の為に採取された血液等の検体を医療機関から集めて検査する施設)に外注されてきたこと。
②病理科が患者を直接診療しないことを理由に標榜診療科(病院や診療所が外部に広告できる診療科)として認められなかったこと。
③病理診断料診療所等での病理診断について診療報酬の評価が無い。
 
病理医数が少ない中で、病理医が必要とされる従来の業務が増え、また主治医の立ち会いのもとで病理医が患者に写真や図を用いて病理診断の説明を実施する業務も加わり、病理医は過酷な労働環境におかれています。産経新聞によると、「検体の数が毎年20~50%も増加するのに加えて、手術中に採取した細胞を直ちに診断するなど臨床現場に参加することが多くなって拘束時間が長く、土日も休めない。」状況のようです。
 
「日本病理学会理事長の青笹克之・大阪大学教授は、『職場環境や待遇の改善に加えて大学教育、臨床研修のさいに魅力的な仕事であることをアピールして病理医を増やすことなどを考えています』と強調する。医学生の教育を含め対応策は小手先では解決できないほど切羽詰まっているのだ。」
 「すでに顕在化している外科、産婦人科、小児科を中心にした医師不足については、平成20年度から医学部の定員増が行われているが、単なる数合わせだけでは解決しない。診療科や地域による偏在は否めず、これを是正するため、厚生労働省は、実態調査に乗り出している。」<同産経新聞より>
 
今から実態調査に入るとのことですが、下記産経新聞の結論に同意する限りです。
 
「医師不足の問題は、今後、医学の発展とともにさまざまな領域から表面化してくるだろう。そのときに患者優先の医療を貫くためにも根底にある課題を解明し、対症療法ではない施策のよりどころとすることが大切だ。(論説委員・坂口至徳)」
 
しかしながら、病理医になる為には、下記資格を満たしていなければならず、ハードルが高く、構造的にも短期間での人員増加は難しいと思われます。
 
■医師・歯科医師免許取得後
・5年以上の病理診断歴
・50体以上の病理解剖(死体解剖資格取得[1])
・3000件以上の病理診断経験
・50件以上の迅速病理診断(術中病理診断)
・死体解剖資格(剖検医)
 
不足している「病理医」とは別に「病理検査技師」という存在があり、「病理医」と共に医療に従事しております。臨床病理学 野島 孝之教授は、病理検査技師の仕事についてこう語っています。
 
「手術中に摘出された組織を調べ、10分ほどの間に手術方針を決める診断を下す『術中迅速診断』もほぼ毎日行われています。診断を下す病理医に見やすい標本を提供するのが診断を下す病理医に見やすい標本を提供するのが『病理検査技師』です。崩れやすい組織や細胞の形を保つ、標本作りは1000分の数ミリの単位の作業。この緻密な作業が医師の正しい診断を支えています。病気の診断という部分に深く関わっていながら、普段私たちがあまり見かけることはない、そんな病院の縁の下の力持ちが病理医と病理検査技師なのです。」
<病理検査技師の仕事2006年9月26日 テレビ金沢放送 http://fcslib.tvkanazawa.co.jp/karada/broadcast/?bc_id=32
 
昨今、医療機器や病理診断システムが飛躍的に発展している中、医師以外の「病理士」として「病理検査技師」へ一定の業務を委譲してはどうかというのが私見です。そして、「病理士」の育成と増加を推進するのが、現実的ではないでしょうか。
しかし、日本病理学会が実施した病理検査士(PA)導入-「病理検査士に関するアンケートの総括」によると、病理医の半数近くが業務の委譲に関しては不要との結果だったようです。
<病理検査士(PA)に関するアンケートの総括 平成19年2月27日http://jsp.umin.ac.jp/committee/surveyPA2.html
 ただ、病理検査士導入の利点としては、下記が挙げられています。
「1)病理医不足に対する補填:周知のごとく、病理専門医数は圧倒的に不足しており、志望者も少ない現状では、病理医不足の早期解消は望めそうもない。一方では医療の急速な進歩に伴い、診断病理医の役割は増加している。そのため診断病理医、特に少人数の病院病理医の業務と責任は過重の一途をたどっている。技師に業務を分担してもらうことで、業務の軽減をはかり、多忙と疲労から来る誤診あるいは医療事故を防ぐこともできる。
 
2)病理医の職域拡大:PAに業務を分担してもらうことで、病理医に時間的余裕ができ、病理医が患者に直接説明するいわゆる「病理外来」の開設が可能となり、これにより標榜化への橋頭堡を築くことができる。あるいは臨床とのカンファランスなどにも積極的に参加できる、研究や教育にも力を注ぐことができるなど、従来の診断業務のみではなく、新たな活躍の場を広げることが可能となる。

3) 技師の職域拡大:技師の職域が拡大され、より高度な専門性を持つことにより、病院などの医療現場での需要が高まる。また、専門性ゆえに職場が固定され、ローテートや異動などに影響されず、職務に専念できる可能性が増す

4) 病理業務の精度管理:病理医不足のため、一部の施設では病理部門の技師が病理医の業務をすでに分担しているのが現状であろう。公的な資格審査を受けたPAのみが業務を行うことにすれば、的確な精度管理ができる。」

病理診断の正確度は、病理医の研修度や経験の深さのみならず、臨床医との良好なコミュニケーションが必須な要素だといわれていますが、現状では、病理医にそれに割ける十分な時間は取れません。客観的な病理判断の手段となる医療機器や病理診断システムの発展を推進し、「病理士」にできることは病理士に任せ、「病理医」は病理医でなければできないことに専念できる仕組みが必要だと思います。医師である「病理医」と医療スタッフの「病理士」の連携の下で、患者第一の医療の実践を望みます。

 
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